道具編①竿の選び方・前編

それでは、イシダイ釣りを楽しむにあたって、どんな道具がいるのか紹介することにしましょう。

まずは竿。釣具店に行くと、イシダイ竿はたいてい隅の方に並べられ、同じ磯釣りで使う上物竿と比べると、太くて重くて、頑丈で、しかも高価というイメージが先行します。しかも漢字ででっかく竿の名前がパッケージに書かれているのを見ると、もう威圧感バリバリで・・・それだけで引いてしまう人もいるかもしれません?(笑)

しかもキャッチコピーで「手持ち」「置き竿」「遠投」「ガンガゼ用」「南方宙釣り」etc…なんて書かれているのを見ると、初めての人には何がなんだかさっぱり。さらに「M」だの「MH」だの「H」といった上物竿にはない謎の表記に、いよいよもって「イシダイ釣りはややこしい」と、手を引っ込めるかもしれません。
そして意を決して店員さんに尋ねると、返ってきた答えは「さあ???私はイシダイやらないので・・・」。笑い話のようですが、実際によくあることです。

でも、これでいいんです。イシダイ釣りは自分で体験しながら、自分で少しづつ答えを見つけ出すのが正解で、いわば“自分流”を探す釣りでもあるのです。こうしなくちゃダメだ、こうするべきだ!と判断するのはすべて自分自身。ここにイシダイ釣り本来の楽しさがあります。

イシダイ竿の選び方の前に、竿の各部の名称を記しておきますね。覚えておくと何かと便利です。とくにルアーからイシダイ釣りに入門する場合、呼び名が変わりますので目を通しておいてください。

下の写真はガイド部分のアップです。ロッドのカスタマイズなどをお願いすると「スレッドは?」とよく聞かれますが、答えはガイドを止める糸のことです。真ん中の色が違う部分は「ピンライン」と呼ばれています。

イシダイ竿の手元には石突があります。これにも各部に名称があります。もし石突を交換する場合、絶対に確認しなければならないのが「込み」の太さ。自分に竿に合うものを選ばないと装着できないので注意が必要です。石突には木製のほか、プラスチックやアルミ製などがあります。木製では欅(けやき)、黒檀(こくたん)、ウォールナットなどの種類があります。

 

次はいよいよ本題です。下の図はイシダイ竿の選定方法を簡単に表したものです。基準としては最初に振出か継竿かを決め、次にタイプ(調子)、そして長さを求めます。さらにグレードや価格を検討し、最終的な絞り込みを行います。

最初の振出か継竿かという点は、振出は軽量で機動性に優れているというメリットがあります。価格も比較的安価でワンシーズンだけちょっとやってみよう、というライト派にはおすすめです。
一方、本格的にイシダイ釣りを始めようと固く決心した人には継竿がいいでしょう。振出に比べて感度がよく、パワーも十二分にあります。振出よりもガイドの数が少なめなのでバランス的にも整っています。
余談ですが、振出は根掛かりしたときに、手前に竿を引っ張って切ろうとすると、急に竿が縮まって指を挟むことがあります。むちゃくちゃ痛いですよお(経験者は語る)。

継竿のタイプ(種類)は、先に書いたようにM、MH、Hと表記されているケースが多く、このアルファベットは竿の硬さ(調子)を示したものです(下図参照)。

それぞれのタイプを日本語で表現すると、Hのハードは「先調子(硬調子)」、ミディアムハードは「7:3調子(中硬調子)」、Mのミディアムは「6:4調子(軟調子)」、Lのライトは「本調子」もしくは「胴調子(極軟調子)」になります。
※Lの表記はイシダイ竿では見かけません。
※硬調子や軟調子という表現は、竿の硬軟を表記したもので、最近はあまり使われていません。

はじめての人が使いやすいのはMHのミディアムハードで、仕掛けの投入、アワセ、やり取りがそつなくこなせます。また、手持ちでも置き竿でも使うことができる万能タイプになっています。

継竿は文字通り「継ぐ竿」。継ぐ方法にはいくつかあって、オーソドックスながら強度がある「並継」、全体にスリムに仕上がって見た目がいい「印籠継」、竿の一部分だけに使われる「逆インロー継」などがあります。

印籠継は上下に継いだとき、きっちりと収まらず中央に1~2㎝ほどの隙間が生じます。はじめて印籠継を手にした人は無理やり押し込んで固着させてしまうケースが多いので注意しましょう。
↓は印籠継です。竿と竿の間に隙間がありますがこれで正解!
無理に差し込まないでください。

継についてもうひとつ。イシダイの継竿には3本継、4本継があります。中には3本半といった、ややこしい表現のものもありますが、ほとんどは3本か4本です。バランス的にできるだけ1本モノに近いものが優れていることから、一時は3本継の人気が高かったようですが、仕舞寸法が長いため宅急便の送料が値上がりしたことと、クルマに積みにくいこと、渡船から良い顔されない、などの理由により、再び4本継が主流となりつつあります。

釣り場で継竿を組む際は、差し込みの部分が濡れたまま継ぐと、使っている途中で乾燥し、そのまま固着してしまうことがあります。そうなると一人では抜けなくなるため注意が必要です。雨天時は湿度が高いため濡れても固着はあまり気にしなくていいようです。

ところで、竿を選ぶ基準のひとつに継の良し悪しがあります。継の差し込み部分は手作業で少しづつ合わせながら削るのがセオリーで、機械でガーッとやったくらいでは微妙な差し込みはできません。つまり、ここに竿作りの職人技があり、本当に良い竿は音もなくスッと入り、抜くときもほんの少し回すだけで外すことができます。

もし継ぐときにギギギッと音がしたり、固くてなかなか入らない竿に出合ったら、ひとまず置いといて別の竿を探してみましょう。間違っても「自分で削って入れよう」とか思ってはダメです。サンドペーパーなどで削りすぎるとユルユルになって差し込み部がガタつくことになりかねません。こうなった場合、リメイクで直せることもありますが、再びガタつきだすこともあります(これも経験者は語る・・・(笑))。